相続税・贈与税
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遺産相続に際しては、最低限知っておくべき事柄があります。まず、遺産には、プラスの財産とマイナスの財産があること。次に、相続の権利範囲や優先順位や分割割合などの知識も必要です。そして、法的な手続きをどのような手順で進めればよいかの知識も必要です。ここでは、これらの基礎知識について詳しく解説していきます。
遺産には、プラスの相続財産とマイナスの相続財産があります。
プラスの財産とは、現金や預金や有価証券、土地や建物、家財道具などを言います。一方、マイナスの財産とは、借金や未払金や連帯保証債務などの負債・債務のことです。葬式費用もマイナス財産の一部となります。
相続が行われる際には、亡くなった被相続人が所有していたプラス財産とマイナス財産のすべてを相続人が引き継ぐこととなります。
プラス財産の合計額がマイナス財産の合計額を上回る場合には相続税の申告・納税が必要となります。亡くなった被相続人が多額の負債を残していた場合には相続放棄をするという選択肢もあります。相続放棄は、全ての相続の権利を放棄することを意味しますので、家や土地などプラスの相続財産を引き継ぐ権利も失います。
相続の権利範囲や優先順位については、法的な定めがあります。
亡くなった被相続人の親族のうち一定範囲の人は法定相続人となります。法定相続人は民法上の相続人として定められている人々のことで、仮に相続放棄をした人であっても、法定相続人数を数える際にはその頭数に加えられます。
法定相続人の範囲と順位は次の通りです。
まず、亡くなった被相続人に配偶者がいる場合、その配偶者は必ず相続人となります。以降は優先順位が決められており、第一順位は直系卑属(子や孫)、第二順位は直系尊属(父母や祖父母)、第三順位は兄弟姉妹の順です。
相続人の順位は、上記の順序に従って決まります。例えば、子供がいれば子供が優先され、直系尊属がいれば直系尊属が相続人となります。
一般的には配偶者と子とが相続するパターンが多いですが、この場合の相続割合は、配偶者50%、子50%となります。子が2人の場合には、50%の割合をさらに子の頭数で割って一人当たり25%となります。相続人となる人の組み合わせは膨大となりますので、どのように解釈すべきか迷う場合もあり、専門家に聞かないと分からないこともあるでしょう。
遺産相続のための特別な法的手続きはなく、自動的に相続権が発生しますが、相続に関連する手続きは必要になります。土地建物の登記の変更手続き、相続に関する納税の手続き、必要に応じて相続放棄または限定承認のための手続きなどがあります。
土地建物の相続登記にはこれまで手続きの義務や期限がありませんでしたが、所有者不明土地の増加を背景に、令和6年4月から申請が義務化されました。不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが必須となります。
相続税の申告・納税は相続開始を知った日から10月以内に完了しなければなりません。
相続税の申告書作成にあたっては、遺産ひとつひとつを評価して遺産総額を計算し、相続人の取得割合に応じて税金を計算するなどの専門的な知識と作業が必要となります。安易な判断をすると、本来なら控除や減額特例を受けられるところをスルーして過大な税金を納めることとなったり、反対に、保険金や有価証券など見落としがちな相続財産の申告漏れや財産評価の間違いによる過少申告で税務署から虚偽申告を疑われることとなったりと、思いもしない結果を招くことになるかも知れません。
相続税に関わる基礎知識について、ご自身で知っておくことはとても大事です。しかし、実際の手続きの場面においては、複雑で難しいケースも多くなりますので、ぜひ専門家への依頼をご検討ください。
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