相続税・贈与税

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土地の相続税の計算方法は?相続税を少なくする方法について紹介します!

土地などの不動産を所有する人にとって、いかにして相続人が負担する相続税を少なくするかは悩ましい問題です。もし多額の税金が課せられて手元のお金で支払えないようなことがあれば、大事な不動産を手放さなければならなくなるかもしれないからです。そこで以下では、土地に課せられる不動産の計算方法について説明するとともに、相続税を少なくするために知っておきたいいくつかの方法を紹介していきます。

土地の相続税の計算方法は?相続税を少なくする方法について紹介します!

相続税とは

はじめに、相続税とは何かについて理解しておくようにしましょう。相続税というのは、文字通り、相続時に発生する税金のことで、相続人が被相続人から引き継ぐ資産に対して課せられるものです。基本的に相続の対象となる資産については、それが経済的に無価値である場合を除いてすべて相続税がかかってくると考えておく必要があります。日本においては、不動産は非常に高い価値を有していますので、当然ながら相続税の対象となるのです。

なお、相続税について理解するためには、相続に関連する専門用語の意味をしっかりと頭に入れておかなければなりません。特に、相続人と被相続人との関係は混同しがちであるため、注意が必要です。資産を渡す方が被相続人、資産を引き継ぐ方が相続人ですので、くれぐれも意味を取り違えないようにしましょう。一般的には親が被相続人、子が相続人になるという風に覚えておけば大丈夫です。

相続税の計算方法

では、この相続税は、どのようにして計算されるのでしょうか。ここでは、その計算方法について簡単に説明します。相続税を計算する際に、まず行わなければならないのは、被相続人が所有していた資産を把握するということです。遺産には、不動産だけでなく、金銭や銀行預金、有価証券など、ありとあらゆるものが含まれるため、把握するといっても、実際にはそれほど簡単ではありません。場合によっては、遺産の把握だけで数か月を要するようなケースも少なくないのです。

無事に遺産の一覧が出揃ったら、次にその総額を算出しなければなりません。金銭のように、その価値が明確に金額に換算できるものであればよいのですが、不動産のように必ずしもその価値が明確でないものについては、専門家による評価が必要になるという点に注意が必要です。なお、遺産は必ずしもプラスの金額のものではありません。被相続人に借入金がある場合には、その金額を遺産総額から控除できますし、それ以外にも葬儀に要したコストなども控除対象となるのです。さらに、相続税額が過大になりすぎないようにするために、税法において一定の基礎控除額が認められています。その計算方法は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっていますので、例えば夫が亡くなって、3人の子供が相続するような場合であれば、遺産総額が4,800万円を超えない限りは相続税は課税されないというわけです。

なお、相続人が配偶者である場合には、配偶者控除の適用が受けられます。控除できる金額は、1億6,000万円と配偶者の法定相続分のいずれか高い方の金額となっていますので、例えば夫が残した4億円の土地を妻と子供1人が相続する場合には、妻の法定相続分である2億円を相続税評価額から控除できるのです。配偶者控除以外にも、未成年者控除、配偶者控除、年次相続控除、小規模宅地等の特例といった様々な控除制度が設けられていますので、必要以上に税金を支払わないようにするためには、自分が利用できるものをきちんと確認することが大切です。

控除できる金額を差し引いても、なお遺産総額がプラスになる場合には、その金額に対して相続税が課せられます。相続人が1人であれば問題はありませんが、複数の場合には誰がどれくらいの税額を負担するかで揉める可能性がありますので、遺産分割協議において相続する遺産だけでなく、負担する相続税額の割合についてもしっかりと取り決めるようにしなければなりません。

土地の評価方法

前述の通り、相続税の金額を算出するためには、遺産の相続税評価額を計算しなければなりません。では、土地については、どのように計算すればよいのでしょうか。具体的な計算方法として路線価方式と倍率方式という2つがありますので、ここではそれぞれについて詳しく見ていきます。

路線価方式

一つ目の路線価方式は、路線価を使って土地の評価額を求める方法です。路線価というのは、国税庁が毎年公表している土地の評価額のことで、道路に面した標準的な土地の1平方メートル当たりの価値を千円単位で示したものです。この路線価の対象となるのは、市街地や住宅地などの路線価地域と呼ばれるエリアに限られているため、山林や田畑のようにそれ以外のエリアにある土地の場合には、相続税評価を行うために路線価方式を用いることができないという点に注意が必要です。

路線価方式を用いた相続税評価額の計算式は非常にシンプルで、路線価に一定の補正率を乗じたうえで、それに土地の面積を掛ければよいだけです。なお、路線価は、毎年7月に見直しが行われますので、誤って前年の数値を参照しないように注意しなければなりません。国税庁のホームページを見ればすぐに調べられますので、必要な場合はその都度チェックするようにしましょう。

倍率方式

二つ目の倍率方式というのは、土地の固定資産税の評価額に、あらかじめ定められている所定の倍率を乗じて相続税評価額を計算する方法です。毎年4月ごろに税務署から送られてくる固定資産税納税通知書を見れば、固定資産税の評価額はすぐに分かりますので、あとは倍率さえ確認できれば「固定資産税評価額×倍率」という単純な計算をするだけで、簡単に相続税の評価額が算出できます。この倍率についても、国税庁のホームページに掲載されていますので、将来的に土地を相続する可能性があるという方は、普段からこまめに確認しておくと、いざというときに慌てずに済むでしょう。

建物の評価方法

相続税は土地だけでなく、その上にある建物に対しても課されます。そこで、ここからは建物についての相続税の評価の仕方を見ていくことにしましょう。

既にある建物

土地の上にすでに存在している建物の相続税評価額の計算式は、「固定資産税評価額×1.0」となっています。要は、建物の固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になるというわけです。土地の場合と同じく、建物の固定資産額評価額についても税務署から送られてくる課税通知書で確認することができます。万が一、被相続人が通知書を破棄していたり、どこにいってしまったか分からないという場合には、建物がある市区町村の役場に問い合わせをすれば、確認することが可能なため、慌てる必要はありません。

建築途中の建物

建物がまだ完成していない場合には、建築完了申請が提出されていないため、固定資産税評価額は存在しません。そのため、建築途中の建物については、完成済みの建物とは異なる、「費用現価の額×0.7」という相続税評価額の計算式が適用されるのです。ここで費用現価というのは、被相続人が生前に使用した費用の金額を、課税時期の価額に直したもので、建築総工費に進捗状況を乗じることで算出されます。例えば、建築総工費が3,000万円の建物を建てている途中で被相続人が亡くなってしまい、その時点での進捗率が40パーセントであった場合には、その建物の費用現価は1,200万円となり、それに0.7を乗じた840万円が相続税評価額となるのです。

土地を相続したらかかる税金

続いて、土地を相続した場合にかかってくる税金の種類について説明します。

登録免許税

登録免許税というのは、相続した土地の所有権を移転するために変更登記手続きを行う際にかかってくる税金です。所有権そのものは相続によって被相続人から相続人に移るのですが、それを第三者に対抗するためには相続人が所有者であることを登記しておかなければなりません。そのため、土地を相続した場合には、この登録免許税の支払いが発生するというわけです。相続登記の場合、登録免許税の税率は土地・建物問わず一律0.4%となっています。税率はそれほど高くはありませんが、土地の場合にはもともとの評価額が高いため、場合によっては数十万円の登録免許税が発生することがあり得るという点に注意が必要です。

相続税

言うまでもありませんが、相続人が被相続人から土地を相続する際には、登録免許税のほかに相続税がかかってきます。ただし、前述のとおり、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式で計算される基礎控除が設けられていますので、相続財産が土地だけである場合には、その評価額が基礎控除額以下であれば相続税は発生しません。基礎控除以外にも様々な控除制度が設けられているため、それらをうまく利用できれば、土地を相続した場合であっても相続税が課税されないというケースはあり得るのです。相続した場合に必ず相続税が課税されるというわけではないという点を頭に入れておくようにしましょう。

相続税を少なくする方法

相続税の金額を少なくする方法としては、生前贈与や小規模宅地等の特例の利用などがあります。以下でそれぞれ詳しく説明しますので、ぜひ理解を深めてください。

生前贈与をする

生前贈与というのは、被相続人が存命中に自らの財産を他の人に無償で譲渡するというものです。生前贈与を行えば、その分だけ相続財産を減らせるため、結果的に相続税の金額を少なくできるのですが、一方で贈与を行うと贈与税がかかってきますので、節税効果をしっかりと検証してから実施しなければなりません。生前贈与によって少なくできる相続税額が贈与税額を上回る場合には生前贈与を行うべきですが、逆の場合にはかえって税金が高くなってしまいます。

なお、相続時に生前贈与の記録が存在していないと、税務署から贈与を否認されてしまうおそれがあります。否認されると贈与がなかったものとして扱われてしまいますので、そのようなことにならないように金銭を贈与する場合には手渡しではなく銀行振り込みにしたり、事前に贈与契約書を取り交わすなどして記録を残すようにしましょう。

小規模宅地等の特例を利用する

相続税には小規模宅地等の特例と呼ばれる制度があり、これを利用すれば土地の相続税評価額を最大で80パーセント減らすことができます。ただし、節税効果が大きい分、その要件はかなり厳格になっており、具体的には宅地要件、取得者要件、手続き要件の3つを満たさなければ、特例は利用できません。そのため、もしこの特例を使って相続税を減額しようと考えているのであれば、あらかじめ要件をしっかりと確認した上で、確実にそれを満たすように、被相続人の存命中から入念に準備を行わなければなりません。なお、3つの要件はかなり複雑ですので、自分だけではよく分からないということであれば、税理士などの専門家に相談してみるようにしましょう。

相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度を利用するのも、相続税額を減らすためには有効です。この相続時精算課税制度というのは、被相続人が存命中に贈与した財産に課される贈与税の支払い義務を相続時まで繰り延べる制度で、子供や孫に対して生前贈与を行う場合には、一時的に最大で2,500万円まで課税されずに財産を渡すことが可能です。例えば、被相続人が所有しているマンションやアパートといった賃貸用の不動産を亡くなる前に子供に贈与しておけば、そこから得られる賃料は相続財産に加算されずに、直接子供が受け取れるようになります。

相続が発生した時点で、贈与税が課されるという点には注意しなければなりませんが、生前に贈与するのが多額の賃料収入を得られる不動産であればあるほど、この制度を利用することで得られる節税効果は大きくなります。そのため、もしそういった物件を所有しているのであれば、生前贈与を検討してみるのがおすすめです。ただし、この制度を利用すると、その後は暦年課税制度は使えなくなります。暦年課税制度には、毎年110万円の基礎控除が設けられていますので、もしその恩恵を受けた方がメリットが大きいという場合には、相続時精算課税制度を利用しないようにした方がよいでしょう。

しっかりと相続税の対策をしよう

相続税はもし課税されれば多額の支払いが必要になるケースが少なくありません。そのため、少しでも課税されるおそれがあるのであれば、なるべく節税対策を行って税額を抑えるようにするのが賢明です。節税の仕方は一つだけではありませんので、ここで紹介した方法なども参考にしながら、しっかりと対策を講じるようにしましょう。

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